日記を書く

例えば、外見にコンプレックスがある女の子がいるとする。それは「目が小さい」かもしれないし「鼻が大きい」かもしれないし、「肉が付いている」かもしれないし「胸が小さい」かもしれない。「背が高い」「背が小さい」「足が短い」「太い」枚挙に暇がない。そして、そういうことを、さほど深刻にではなく、あくまで軽く吐露されたとする。そこでおそらく自分は言うであろう、「たいしたことじゃないよ」と。「小さくてもいいじゃない」「これで太いって言うの?」「あんまり考えたことないなぁ」「みんなだってそんなもんでしょ、たまたまみんなうまいこと隠してるだけで」ということを言うかもしれない。そこでいつも不安になるのが、「別にお前に気に入られたくて気にしてんじゃねぇよ」と思ってはいないだろうか、ということである。「お前に慰められたところで別に何の足しにもならねぇよクソが」と。「お前思い上がってんじゃねぇぞ」と。例えばそういった劣等感、というか自分はここがダメだ、出来ることなら治したい、というのは、なにかしら動機があるはずで、それは例えば意中の人に対するアピールかもしれないし、そんなことは考えていない、いわゆる「一般の目」というものへのエクスキューズかもしれない。そして、そのどちらであったにしても、自分一人の発言がそれらをどうにかできるものではない。自分がその人の意中の人であれば話は別であるが、そんな確率は間違いなく0である。そういうことを考えると、私はいつも不安になる。不安になり、言葉に詰まり、それでもなんとかつなぐ。つながっていたい、からである。
例えば、外見にコンプレックスがある男の子がいるとする。本来この話において性差は発生しないとするのが非常に楽でよいのだが、どうもそこに誤差を感じるので一応分けて考えている。そもそもあまりそういうことが男同士では話に上がらないのでまあ最悪考えなくても大丈夫だったりする。