日記を書く

最近、ブーメランという語をよく聞く。そんなもの遥か昔からあった、確かにそのとおりである。私が言うブーメランは、「人をある性質において蔑んでおきながら、当の本人もまたその性質を持っている」ということを表すブーメランである。一言で言えば、「お前が言うな」である。ここで考えてみたいのが、この現象をブーメランにたとえることがどの程度妥当なのか、ということだ。自分のところに帰ってくる。なるほど確かにその点はブーメランであるが、しかし、普通のブーメランは空中を滑空して手元に戻るものであり、他の者を攻撃しようとする意図はない。また、自らに危害を加えることもない。非常に平和的な遊具である。もし他のものに打撃を与えたときは、手元に戻ってくることはまずない。これでは、例えとして満点ではないだろう。それらの点を克服できるような例えを考えていきたい。新しい例えが決まるまで、上記の現象に対する語はそのまま「ブーメラン」とする(かぎ括弧に注意)。他のものに打撃を与え、かつ手元に戻ってくるといえば、ドラゴンクエストシリーズのブーメランや、ファイナルファンタジーシリーズの円月輪が挙げられる。しかし、これらは使い方さえ間違えなければ非常に有用な武器であり、また、ゲーム中にこれらの使い方を誤って自らがダメージを負うという演出を私は見たことがない。敵にダメージを与えながら、自らにもダメージが来るという点では、むしろ「もろはのつるぎ」のほうが近い。そして、いずれの武器とも「ブーメラン」が違う点は、手元へ戻す意図の有無にある。ブーメランや円月輪は手元へ戻す意図があるが、「ブーメラン」は通常それがない。それがないのに戻っていくから面白いのである。空想上の武器へ解釈を広げても無理が生じそうだ。意図せず戻ってくる、という点に着目すれば、誤射、誤爆といったものが思いつくが、誤射の相手が自分、というのはなかなか想像がしにくい。いわゆる設置型兵器の掃射範囲に自分もいた、という状況ならわかりやすいのだが、それを一言で表す簡潔な語が思いつかない。結局、ブーメランに落ち着くのだろうか。個人的には、いわゆるボットン便所の「お釣り」が近いのではないか、と思いつつ、それが最適かといわれると、甚だ疑問である。